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2024/02/01

事業の根幹となる「会員システム」を Azure Kubernetes Service でマイクロ サービス化、パフォーマンスの柔軟性と開発、リリースの俊敏性を実現

「ゴルフで世界をつなぐ」のミッションの下、ゴルフのワンストップ サービスを提供している株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン。同社ではそのビジネスの根幹であり、創立当初から運用されてきた「会員システム」が、Azure Kubernetes Service (AKS) でマイクロ サービス化されています。またデータベースに Azure Database for PostgreSQL を採用するなど、オープンソース ソフトウェア (OSS) を中心に構成されていることも、注目すべき特徴です。2021 年 7 月にはその運用が始まっており、パフォーマンスの柔軟性を確保すると共に、開発とリリースの俊敏性も実現。この成功を受け同年 12 月には、同社の主要事業であるゴルフ場予約のシステムでも、AKS によるマイクロ サービス化がスタート。2025 年に移行が完了する予定です。

Golf Digest

クラウド リフトだけでは解決できなかったオンプレミスの課題

「ゴルフをもっと手軽に楽しめるものにすること」を目標に 2000 年 5 月に創立され、現在も「ゴルフで世界をつなぐ」のミッションの下、ゴルフのワンストップ サービスを提供している株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン (以下、GDO)。ゴルフ場オンライン予約サービスから始まった同社のビジネスは、ゴルフに特化した総合的なサービスへと拡大しています。そのために運営しているゴルフ ポータル サイトは国内最大級。会員数は既に 550 万人を突破しています。

この膨大な数の会員にサービスを提供するうえで重要な役割を果たしているのが、創立当初に構築された「会員システム」です。「このシステムはお客様の情報がすべて入っており、当社が多岐にわたるサービスを提供するための根幹となっています」と語るのは、GDO システムマネジメント本部で本部長を務める山外 芳伸 氏。そのため 24 時間 365 日、1 秒でも止まることは許されないと言います。

運用開始から 10 年が経過した 2011 年には、社内システム全体がリプレイスされ、会員システムもその対象となりましたが、この時はまだオンプレミスで動いていました。その後、2017 年には約 300 インスタンス規模の IT 基盤を全面的にパブリック クラウドへと移行。これに伴い、会員システムもメガ クラウドへとリフトしています。ここで期待されたのは、オンプレミスのままではこれ以上高められないと判断された、パフォーマンスのさらなる向上でした。しかしこの時のクラウド リフトでは、問題の解消には至らなかったと山外 氏は振り返ります。

「このパブリック クラウドの IaaS はスケールアウトが難しく、パフォーマンスを高めるにはより高いスペックのインスタンスに切り替えて、スケールアップするしかありませんでした。また RDBMS の負荷もライセンス契約の上限に近づいていたため、これ以上の負荷には耐えられないという状況でした。そのため、負荷が高くなるマーケティング施策を行う場合には、運用で負荷の集中を回避していたのです」。

その一例として上げられたのが、「お得情報」などの LINE メッセージを会員にプッシュ配信するケースです。このようなメッセージを配信すると、その直後からポータル サイトへのアクセスが集中し、会員システムの負荷も高くなります。これを回避するために事業部門の CRM 施策チームは、配信先を複数のグループに分けて時間をずらして配信する必要があったのだと言います。

その一方で「会員システムの構造そのものが古く、密結合だったため改修が難しいという問題もありました」と指摘するのは、GDO システムマネジメント本部 開発部で部長を務める松岡 賢 氏です。機能拡張などのために部分的な改修を行う場合、まず改修の影響がどこに出るのかを調査し、その影響ができるだけ小さくなるように工夫する必要があるため、かなりの工数がかかっていたのです。

モダナイズに向け Kubernetes に着目、運用負担が少なくパートナーの伴走も期待できるクラウドを選択

これらの問題を根本から解決するため、クラウド リフトを実施した翌年の 2018 年には、次のシステム基盤をどうすべきなのかについての調査に着手。アプリケーションのモダナイズのための「クラウド シフト」を視野に入れた検討が進められていきます。ここで着目したのが、コンテナ管理基盤である「Kubernetes」でした。

「Kubernetes が登場してからまだ 3 年程度しか経過していませんでしたが、このころには既に大きな注目を集めるようになっており、私達もこれを使えばコンテナによる疎結合システムが作れると考えました。そこでコンテナ技術や Kubernetes に関する調査を行い、2019 年 9 月にはコンテナ利用を前提とした RFP を作成、複数のクラウド ベンダーに提案してもらうことになりました」。

ここで最終的に選ばれたのが、AKS でした。その理由を松岡 氏は次のように説明します。

「社内にはまだ Kubernetes の経験者がいないため、運用が簡単で当社の負担が小さいものがいいと考えていました。また移行を成功させるには、一緒に伴走してくれるパートナーの存在も重要です。この 2 点を重点的に評価した結果、AKS の選択が最善であるという結論に至りました」。

これに加えて、既に他のシステムで Microsoft Azure が使われており、高い信頼性を発揮していたことも、採用を後押ししたと山外 氏は指摘します。

「IT 基盤を全面的にクラウド化した際に、ERP を Azure へと移行していたのですが、現在まで 5 年以上ノー トラブルで運用されています。もちろんこれは社内向けシステムであり、負荷変動の激しいお客様向けのシステムで安定的に運用できるかは未知数でした。しかしマイクロソフトの担当者とやり取りしているうちに、当社の目的に向かってしっかりと伴走してもらえそうだと強く感じ、最適な移行先だと考えるようになりました」。

2019 年 11 月には AKS の採用を決定。これとほぼ同時期に、株式会社ブロードバンドタワー (BBT) がインフラ構築のパートナーに選ばれています。

「GDO 様とは 2018 年からお付き合いがあり、止めてはならないシステムをサポートし続けてきました」と語るのは、BBT 営業本部 第2営業グループの三宅 佑典 氏。また BBT は、データセンターの提供を通じて 24 時間/365 日での運用ノウハウを持っており、「これも今回のパートナーに選ばれた理由だとお伺いしています」と述べています。

その後、導入および契約に向けた社内調整を行ったうえで、2020 年 3 月に移行プロジェクトがスタート。要件定義と基本設計を経て、2020 年 7 月に開発が始まります。GDO の会員システムはパッケージ ソフトをカスタマイズする形で実装されてきましたが、それがこのタイミングでコンテナに対応したため、まずは現状の機能をほぼそのままコンテナ化することになったのです。

能力の柔軟性と高い安定性を確保、マイクロサービス化で改修・リリースも容易に

2021 年 7 月には新たな環境でのサービスを開始。そのインフラ構成は図に示すとおりです。

まずアプリケーション群は、AKS 上のコンテナとして実装。ユーザーからのアクセスを受けるフロント部分には Azure Application Gateway と Azure Load Balancer が配置され、アクセス量に応じて Kubernetes Pod がオートスケールするようになっています。バックエンドのデータベースには、Azure Database for PostgreSQL フレキシブル サーバーを採用。この他にも、Azure Cache for Redis や Azure Blob Storage、Azure Files、Azure Service Bus、Azure Functions などが利用されています。

「今回のインフラ構築の最大の特徴は、すべて PaaS の組み合わせで実現していることです」と言うのは、BBT 技術本部 テクニカルセールスグループでマネージャーを務める金子 忍伸 氏。またオープンソース ソフトウェア (OSS) 中心で構成されていることも、注目すべきポイントだと指摘します。「たとえばデータベースは PostgreSQL を採用していますが、これによってライセンスの制約を受けない柔軟な環境を実現しています。PaaS と OSS の採用は当初から RFP に盛り込まれていたことですが、その意図を最大限に汲み取りながら、全体のアーキテクチャを作り上げて行きました」。

これによって、パフォーマンスの柔軟性と高い安定性を、同時に実現することが可能になりました。

「以前は時間をずらしてもらっていた LINE メッセージの配信も、今では一気に行えるようになりました」と山外 氏。負荷集中を避けるための運用上の工夫が不要になったため、事業部門は顧客に対する施策により集中できるようになったと言います。

また、システム全体が疎結合になったことで、部分的な改修の影響範囲を限定できるようになったことや、サービスを停止せずにリリース可能になったことも、大きな利点だと松岡 氏は指摘します。

「リリース内容によっては夜間に行うケースもありますが、現在ではほぼすべてのリリースを昼間の 14 時に行っています。これはいろいろと試したうえで決めたことですが、夜間のリリースとは異なり、社内スタッフが揃っている状態でのリリースであるため、何か問題が発生してもすぐに対応できるという安心感があります」。

この成功を受け 2021 年 12 月には、GDO にとっての事業の柱の 1 つとなっている「ゴルフ場予約」のシステムを、会員システムと同様に AKS でコンテナ化するプロジェクトがスタート。2025 年には既存システムから完全移行する計画です。

「コンテナによるアプリケーションのマイクロ サービス化によって、アジャイル開発も可能になりました」と山外 氏。既にゴルフ場予約システムでは複数の小規模チームを編成し、2 週間スプリントでスクラム開発を行っていると言います。

「もちろん既存システムのマイクロ サービス化は、それなりに乗り越えるべきハードルが存在します。しかしそのメリットは極めて大きく、明確な目標があれば、乗り越えるだけの価値があります。またハードルを確実に乗り越えていくには、伴走してくれるパートナーの存在も重要です。BBT にはインフラをすべて任せており、マイクロソフトからは常に最新情報をいただいていますが、両社のこのようなサポートにもたいへん満足しています」。

“パフォーマンスを高めるため 2017年に会員システムをクラウド リフトしましたが、パフォーマンス問題を解決するには至りませんでした。問題を根本的に解決するには、アプリケーションをモダナイズする “クラウド シフト” が必要だと感じていました”

山外 芳伸 氏, システムマネジメント本部 本部長, 株式会社 ゴルフダイジェスト・オンライン

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